今見たいカンボジア映画6選 |
ただ、どれも日本国内ではなかなか公開されたりDVDが販売されたりすることもないので、鑑賞の機会を得ること自体が難しいようです。いくつかは米国のAmazonや販売元などから直接買うしか方法はないかもしれません。
それぞれの映画の評価は人によって分かれるようですが、いずれの内容にもカンボジアが抱える過去や現在の問題が多かれ少なかれ関係しています。この国の社会問題に関心のある方なら、どれも一見の価値はあるのではないでしょうか。
1. 『Ruin』(2013年、オーストラリア)
売春宿の主人の暴力から逃げ出した娼婦のソバナ(サン・マレン)は、プノンペンで工場労働者のピルン(ロス・モニー)と出会う。やがて一つの殺人が起こり、2人の男女は犯罪と暴力にまみれた悲惨で残酷な世界から、ジャングルの奥深くを目指す逃避行に旅立つ。先日のベネチア映画祭(2013年)で審査員特別賞を受賞したダークな愛と暴力のロードムービー。
2. 『The Missing Picture』(2013年、カンボジア/仏)
舞台は1970年代後半、クメール・ルージュ政権下のカンボジア。ポル・ポトによる破壊と虐殺の時代を生き延びたリティ・パニュ監督が、当時の自身の経験、家族や隣人にもたらされた狂気の惨劇を静かに語るドキュメンタリー。カンヌ映画祭(2013年)「ある視点」部門最優秀作品賞受賞。
3.『A river changes course』 (2013年、カンボジア/米)
トンレサップ湖の水上で暮らす漁師のサリ。プノンペン近郊の農村で稲作を営む農民のキュー。カンボジア北部の山奥で森林と共生するサヴ。彼らとその家族たちの暮らしはカンボジアに急速に押し寄せる開発と近代化の波に脅かされ、それぞれが生活を守るために厳しい選択を迫られていく。米サンダンス映画祭(2013)ワールドシネマ・ドキュメンタリー部門審査員グランプリ獲得作品。
4. 『Wish You Were Here』(2012年、オーストラリア)
バカンスを楽しもうとシドニーからカンボジアの浜辺へやって来た二組の男女のカップル。しかし満月の輝く夜の宴の後、4人の中からジェレミー(アントニー・スター)だけが忽然と姿を消す。彼はなぜいなくなり、どこへ行ってしまったのか。シドニーに戻った残りの3人はその答えを探そうとするが、やがて残酷な事実が明らかになり・・。オーストラリア映画批評家サークル(2013)で最優秀作品賞を含む5冠を獲得したミステリードラマ。
5.『Two Shadows』(2011年、米)
カリフォルニアでウェイトレスとして働くカンボジアン・アメリカンのソバナ(ソフィア・ペル)は、ある日、20年前にカンボジアの内戦で生き別れた弟と妹の生存を告げる謎の手紙を受け取る。父親の制止を振り切って単身でカンボジアに渡り、二人の行方探しを始めたソバナだが、次第に危険な状況に追い込まれていく。米ロサンゼルスアジア太平洋映画祭(2012)観客賞受賞作品。
6.『River of Victory』(2010年、米)
この6作品にもう1点、付け加えるとすると、以前ご紹介したボンコック湖の強制移転問題のドキュメンタリー、『Even a bird needs a nest』が挙げられます。他にも最近のものでお薦めの作品があれば是非教えてください。